根管治療とはどのようなものか

2019年3月10日

根管治療とはどのようなものか

虫歯が深くなってしまったり、歯周病が進行すると、歯髄(しずい)に感染し、炎症や化膿を引き起こしてしまうおそれがあります。
この状態に陥ると、歯に強い痛みを感じるようになります。
歯髄とは歯冠と歯根の中心部の空洞の部分に神経や血管が走っている部分のことを指します。
一般的には歯髄は神経と呼ばれ、よく「歯の神経を取る」「歯の神経を抜いた」などと言われているのは、歯髄の除去のことを指します。
これは専門的には「抜髄(ばつずい)」とよびます。

根管形成

歯根治療の手順は、まず最初に抜髄を行い、神経や血管などの軟組織を完全に取り去ります。
この際に軟組織が少しでも残ってしまうと細菌が増加し、腐敗が進んでしまいます。
次に歯管内壁のプリデンティンという比較的柔らかい部分を掻きとって完全に除去し、根管内の形態を充填治療が行いやすい形に仕上げます。
この作業を「根管形成」と呼び、これは歯管治療において最も重要な作業です。
完全に洗浄・消毒・乾燥を行ったうえで、空隙が残らないように充填を行います。
この際に、リーケッジという死腔が残ってしまうと、そこから充填の封鎖が破れてしまいます。
さらにそこに浸出液などが入り込んでしまい、浸潤状態になります。
浸潤状態になってしまうと、虫歯の再発が起こりやすくなります。
熟練の腕を持つ歯科医師が充填を行えば成功率は高まりますが、それでもこの治療は完全に行うことは難しく、結果的に不完全な治療となってしまい、虫歯や歯周病が再発してしまうという現状があります。
根管治療は抜髄の際に適切に施されることが理想ですが、見えない歯の内部にある細い根管を完全に治療することは決して簡単ではありません。
また、一度行われた不完全な治療は再治療の難易度をさらに上昇させてしまう、という難点があります。

適切な根管治療と悪い根管治療を見分けるポイントとは

適切な根管治療を行うことで、歯根の先端部分に膿がたまる根尖病巣ができてしまったり、根管内が腐敗してしまう、といったトラブルが発生しにくくなります。
また、不完全な治療を施されてしまったため、根尖病巣ができてしまい、腫れてしまった歯であっても、適切な根管治療を再度行うと治すことが可能です。
粗悪な根管治療を行ってしまうと、先述の根尖病巣が発生し、骨が溶け、化膿してしまいます。
歯がこのような状態にあるとき、患者は、歯の重たさや、疲労感、免疫の低下などにより風邪をひいたときなどに、疼きや腫れを感じます。
この根尖病巣は限界点に達すると、病巣が大きくなり、腫脹や激痛、排膿、そして発熱などを引き起こします。
根尖病巣は根管充填を適切に行うことで治すことができます。
多くの場合で歯根は「側枝」と呼ばれる、枝分かれした複雑な形態をしています。
このように側枝があるときは、側枝の中まで洗浄・重点を行わなければ根尖病巣は治りません。
根管治療は非常に難易度が高いため、高度な技術が必要になります。
ほとんどの場合、根管治療の成否はレントゲン写真を見ることでわかります。
そのため、根管治療を受けた時は、歯科医や衛生士にレントゲンを見せてもらうとよいでしょう。

では、根管治療の良否をレントゲンで判断するにはどのようなポイントに注目すればよいのでしょうか。

1.白い充填剤が歯根の先端部分にまで隙間なく充填されていること

2.充填された充填剤の側面や内部にリーケッジという黒い影(死腔)がのこっていないこと

3.入口は太く、根尖に向かって細くスムーズな形態の充填になっていること

4.すべての根管に充填が行われていること

5.根管治療から数か月後に、予後のレントゲンの写真撮影を行い、新たな病巣が確認されていないか、元々の病巣は消失しているかを観察する

根管治療は歯科治療の土台です。

個人差はありますが、根管に充填を行った直後に、違和感や痛みを感じることがあります。
この違和感は充填剤が十分に入れられたことによる圧力のために生じたものの場合でしたら、数日で徐々に消失します。
しかし、根管治療から数日経過しても痛みや違和感が解消しない場合は、不完全治療の可能性があります。
また、根管の側壁に穴をあけてしまう「パーフォレーション」などの治療の失敗がある場合は、痛みは治りません。

根管治療は歯科治療の土台です。
その後に行われるクラウンやブリッジなどの歯に被せ物をする補綴治療がいかに素晴らしくとも、根管治療が適切でなければ、歯は歯根から悪くなり、抜歯に至ってしまいます。建物の建築で例えるなら、根管治療は基礎工事にあたります。
根管治療の技量レベルは、歯科医の熟練度と誠意を推し量る一つの指標になるということが言えるでしょう。

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